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もっと面白く大賞 第5回もっと面白く大賞受賞!

電着部門のDX化への取り組み

PROJECT

台金の表面に電気めっきでダイヤモンド、CBN砥粒を固着させた工具を製造する電着部門で、DXを推進。製造指示書のデジタル化などで各業務の効率がアップしたと同時に、製品品質の安定化も実現し、社内外にメリットを創出した。

プロジェクトの主要メンバー<br />
T.Sさん、K.Aさん、K.Nさん

プロジェクトの主要メンバー
T.Sさん、K.Aさん、K.Nさん

もっと面白く大賞とは?

もっと面白く大賞とは?

「もっと面白く大賞」とは、当社の経営理念である「モノづくりをもっと面白く」に基づき審査されるものです。3 つの「目指す姿」をどれだけ実現できているか、5 つの「行動指針」をどれだけ実行できているかが評価のカギとなります。

業務スキルの属人化を解消するために

電着部門ではもとより、業務スキルの属人化が課題となっていました。これまで伝統的に取り組んできたのは、お客様ごとに仕様が異なる一品一様のモノづくり。それぞれの要望に応える対応力が評価されてきました。一方社内では、お客様ごとの細かな仕様や検査項目などは担当作業者だけが知っているということが多く、まさに昔ながらの職人スタイルが近年まで続いていたのでした。
絶対的に頼れるメンバーがいると安心できます。ただ、各作業工程でその担当者に不明点を尋ねる手間が発生したり、担当者が不在のときに業務が滞ってしまったりするなど、不利益も生じていました。全体的に手作業や紙媒体での共有が多かったため、ヒューマンエラーにつながっていたことも事実です。
社外から見えにくい部分ではあるものの、お客様により質の高い製品を届けるためにすべきことがあるならば、見逃してはいけません。世間のDX推進の波に乗りながら、千葉工場への移転を機に電着部門のDXは本格的に進められました。

社内DXが、お客様のメリットに

ペーパーレス化を軸として、電着部門にさまざまなDX施策が導入されました。例えば、製造指示書のデジタル化です。今まで担当者が抱え込んでいた情報をデータに落とし込み、タブレット端末で共有。それぞれのお客様ごとの特別な仕様を、誰が作業者であっても再現できる仕組みを構築しました。業務効率を高めるとともに、全社的なお客様理解度の向上にも寄与しています。
とある製造装置では、IoT化も実現しました。これまでは製造の条件となるさまざまな数値を紙の資料から読み取り、それを手で入力してからようやく装置を稼働させていました。しかし現在では、作業者が指定のバーコードを読み込ませるだけで、数値が装置にそのまま取り込めるようになったのです。手間の削減およびヒューマンエラーの抑制に大きく貢献しています。
DXによる改善効果は、挙げればきりがありません。3人で担当していた作業が2人でできるようになったり、30分かけていた作業がなんとゼロになったり。省力化はもちろんのこと、これまで緊張感をもって取り組んでいた検査項目がデジタル化されたことによって不要となり、ストレスが減ったとの声も聞かれました。加えて、歩留まりの向上やクレームの減少も明らかで、電着部門のDXは社内だけでなく、お客様にもメリットをもたらしたのです。

トップの方針を追い風にDXを加速

電着部門は小さな部署ですが、DXは決して簡単ではありませんでした。当然ですが、社内でDXに精通した人間はいません。システム業者さんの協力を得ながらも、まずは私たち自らが何をすべきか考え、それを実現できるソフトウェアを探し、さらに使いこなせるように勉強する必要がありました。途中からは社内の若手にも有志でプロジェクトに参加してもらうことで、徐々に進行スピードを上げていきました。
正直、最初はDXに対して戸惑う作業者もいました。これは、DX推進において多くの組織が抱える課題の1つです。彼ら彼女らに対しては、DXとは「自分たちがラクになること」「お客様のためにもなること」であると、メリットを粘り強く伝え続けました。そして何よりも、会社が「DXを推進しよう」という方針を掲げ、社内にDXが進みやすい空気感を醸成したことが強い追い風になったはずです。会社というバックアップがあったからこそ、プロジェクトメンバーは自信を持って活動することができたのではないでしょうか。

ビッグデータの活用に期待

電着部門は、工場の1つの部門にすぎません。ここでのDX事例を工場全体、もしくは他工場へと共有、展開していくことが直近の目標となっています。さらなるDXの推進には、人材の増加が不可欠ですから、社内でのDX人材の育成も同時に進めていく必要があります。
DXにより、日々さまざまな情報がデジタルデータとして蓄積されています。その膨大な情報、いわゆるビッグデータを解析し、活用していくことにも取り組みたいところです。どの装置がどんな条件下だと製品品質が安定するのか、もしくは異常が多発するのかなど……今まで人の目では気づけなかった部分に着目できる可能性もあり、期待は高まります。
全社レベルで考えれば、DXはまだ始まったばかりです。思えば、業務の効率化や製品品質の向上には終わりがありません。このプロジェクトは「超」がつくほどの長期的なものであり、今日、今この瞬間も続いているのです。

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